第1章:郵便局を辞めたい人が知るべき、早期退職制度の『いつ』と『どうやって』
「今年、早期退職ってあるの?」「いつ発表されるの?」 こうした不安の声は、毎年秋〜冬になると郵便局内でささやかれます。
しかし実は、郵便局の早期退職制度はその都度の気まぐれではなく、制度として人事管理規定に明文化されており、毎年恒常的に実施可能な仕組みです。
■ 制度の根拠:人事管理規定に明記された恒常制度
郵便局の早期退職は、かつては「高齢勧奨退職」と呼ばれていましたが、65歳定年制導入後は呼称が「早期退職」に変更されました。
日本郵便株式会社 人事管理規程 第64条 日本郵政株式会社 人事管理規程 第46条
これらの規定により、会社は経営効率化のために一定の年齢以上の社員に対し、勧奨による退職(早期退職)を毎年制度として実施可能であることが明文化されています。
■ 周知されにくい理由と構造的な誤解
制度の存在があるにもかかわらず、毎年「あるのかないのか不安になる」理由は、情報の伝達経路とタイミングに構造的なズレがあるためです。
- 制度の詳細は、周知開始日に本社・支社の人事担当者から各局の管理者(局長等)へメールで通知されます。
- しかし、管理者がそのメールを当日すぐに確認して、対象社員に即座に周知するとは限りません。
- 実際には、金曜日にメールが届いたものの、管理者が出張や不在で週明けまで社員に伝わらないケースも多く報告されています。
- そのため、社員の中には翌週初めて制度の存在を知る人も少なくありません。
このような中で、最も早く情報を得るには、労働組合のHP掲示板を確認するのが最適です。
- 組合のHPには、周知日当日の昼頃までには内容がアップされるのが通例であり、多くの社員がそこで制度の詳細を初めて目にします。
また、周知のタイミングは毎年ある程度予測されており、
- 5ちゃんねるの「郵便局を辞めたい」スレッドなどでは、制度の告知予想日が共有されています。
- 実際、ここ数年は「12月第2週の金曜日」が周知日の定番となっており、
- 2025年も「12月13日(金)」が予想されていましたが、実際には**一日早い12月12日(木)**に通知されました。
- 組合のHPにはその日の午前中に情報がアップされていたにもかかわらず、掲示板上では「うちの局ではまだ知らされていません」といった投稿が週明けまで続いていた事例もあります。
このように、制度の存在自体は明確でありながらも、「見えにくさ」や「伝達のズレ」により、不安や混乱が生まれているのです。
- ただし、労働組合には情報が共有されるため、組合員であれば組合経由で確認することが可能です。
- また、局内掲示板に募集概要が貼り出されるケースも多く、事前に制度の存在を知っていれば非組合員でも確認は可能です。
■ 実施時期はほぼ固定:年度末(3月)退職が基本に
2020年度以降、制度の実施は原則として3月末退職に一本化されています。
過去の実施履歴からも、制度が恒常的であることが明らかです:
実施年度 | 実施日 | 周知開始 | 申出期限 |
---|---|---|---|
2019年 | 3/31 | 1/9 | 1/28 |
2020年 | 3/31 | 1/30 | 2/14 |
2021年 | 3/31 | 1/5 | 1/26 |
2022年 | 3/31 | 12/10 | 1/12 |
2022年 | 9/30 | 6/27 | 7/15 |
2023年 | 3/31 | 12/9 | 1/11 |
2024年 | 3/31 | 12/8 | 1/10 |
2025年 | 3/31 | 12/12 | 1/14 |
- 2020年度以前は年明け周知が多かったが、
- 2021年度以降は12月上旬に前倒しされており、年末年始にかけて判断を迫られる構造になっていることが分かります。
- また、9月末退職は2022年を最後に行われておらず、現在は3月退職に統一されています。
■ 実施内容は年によって微調整される
制度そのものは恒常的ですが、年度ごとに実施内容や対象範囲が微調整されることがあります。
例えば、2023年実施分では以下のような特例がありました:
- 対象年齢が従来の「50歳以上」から「45歳以上」に拡大(特例措置)
- ただし、かんぽ生命に出向中の社員は対象外とされており、私はその年、出向社員だったため特例の対象外となりました(当時は退職を考えていなかったため、深くは扱いません)。
また、かんぽ問題後、保険業務に関わっていた社員には
- 誓約書の提出義務
- 退職金(上乗せ分)の支給延期
といった通常社員よりも不利な条件が課されるケースもありました(詳細は別記事で解説予定)。
■ まとめ:制度はある、知らないだけ
郵便局の早期退職制度は、会社の人事管理規程上に明記されており、毎年度末に恒常的に運用されている制度です。現行規定に基づき、今年度もおそらく実施されると考えられます。
ただし、その実施は毎年1カ月程度の短期間であり、年間を通して自由に使える制度ではないため、完全に「いつでも使える自己都合の退職制度」とは言い切れない面もあります。私自身、制度の仕組みを知った上で、そうした側面に疑問を感じることもありました。
また、制度の実施は現行規定に基づいて行われているものの、会社側が将来的に規定を変更すれば制度自体を取りやめることも理論上は可能です(※ただし、それは次年度以降でなければ許されないと考えられます)。
そのため、
- 制度がある今このタイミングを逃さないことが重要であり、
- 特に例年とは異なる「特例」が出ている年(例:45歳特例)には、いつも以上に“チャンス”であることを強調したいと思います。
あなたがこの制度に関心を持っているのなら、それは今年度にアクションを起こす好機かもしれません。
知っていれば、動ける。 知らなければ、選べないのです。
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